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優顔

こんなに美しい空の下なのに、私は。

(9期ハニスタSS)
「ねえ、サグったら!」
もう何回もアトリエのドアをノックしているのに、応えてくれないのね。
これで私たちのリーダーなんて笑っちゃうわ。
「はぁ」
ドアという私達の前に立ちはだかるひんやりした壁にもたれて、涙が溢れそうな瞳を閉じた。

錬金術師として腕を磨いている黒い髪の男は、私と同い年のくせに空気も読めない自分勝手で石至上主義の変わった人物。


私が野良屋の一員になったのはブリアティルトで再会した幼馴染、サロウの誘いがあったからだ。

サロウとの出会いは14年前。
病気で父親を亡くした彼は家族を養うために私の父親がリーダーを務める傭兵団に所属していた。
彼の双子のお姉さん、サリュウともとっても気が合って
私達はすっかり家族のような付き合いになっていた。

7年前サリュウの体調がすぐれなくなって、彼の夫だという人物がその場しのぎの安らぎを与えた
絶望の淵に立ったその時、手を差し伸べてくれた人物のことを何より尊く思うのは理解できる
7年後、その男に弟が苦しめられているなんて、あの子には考えられない


『頑張れって言われてもさ、もうこれ以上どう頑張ればいいのかわからないんだ…!』


もう、早く、早く死んでよ
私はいつからこんなふうに


「ぅきゃあっ!」
寄りかかっていたドアが急に開けられ力強い腕に支えられた
「…邪魔すんなって言ってるだろう」
どうみたって機嫌の悪いサグが上からじろっと睨む、でもその表情に優しさが隠れていることを私は知っている
「サロウの具合悪いのか?」
「・・・・」
無言でうなずくと小さな舌打ちが帰ってきて、鼻をくすぐる薬品の匂いがサグの心境を教えてくれてた。

サグはサロウに弱い。
恋人を祖国の策略で亡くし人間不信になったサグにもう一度信じる力を与えたのはサロウだった
そしてサロウが姉を延命させるために吞んだ義兄の要求を、サグも知ってる。


「俺も様子を見てくる、お前あの窯の火加減みとけ」
「いやよ、一緒にいきたい」
「…」

腕を掴んで歩き出したリーダーに思わず甘えたくなるのは、私の心が不安定だからなのでしょう。

サグは、自分は人間が嫌いだとか言うけどそんなの嘘。
本当は心温かでお人好し、だからこそ裏切られたときに傷つつかないように予防線をはっているだけ

私は、全部知っていて。

大した努力もせず、成長もせず
サロウの「大丈夫」というウソに「信じてるわ」という同じ色を塗り重ねて
サグの秘密にも目をつむって

此処に何食わぬ顔で存在している。
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