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Category: 日記

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予防線

次のリーダーはサロウに任せようと決めていた。
彼は好奇心旺盛で向上心もある野心家だ、ハニスタとも俺より仲が良い。

俺が中盤戦メンバーに選出されたのも、朝も昼も夜も2人が腕を引くから
石を眺めていたい気持ちを抑えて遠征に行った結果である。
俺より彼の方が熱心に傭兵として生きている。


(小話)
俺はもう、自分の好きなことだけをして生きていきたい。

自分以外の何かのために努力するなど、そんな何の意味も持たないことをもうしたくない。
ハニスタも、人嫌いで自分を売り込めない俺より、サロウの方が適任だと思っているのではないか
サロウもきっと、傭兵として生きていく気のない俺に嫌気がさしている

そんなことを思っていた。
それなのに、彼が俺に向けた目は今まで見たことがないものだった。




中盤戦から戻った夜。
祝賀会が一段落し、いつものように各々が食後の御茶を楽しみだす
その和やかな雰囲気を頼り、俺は来期の方針を2人に話した。


「なんで、今期頑張ったのに、俺がリーダーになんの?」
さっきまで笑っていたサロウの、今まで聞いたことのない声音にドキリとした。
サロウの隣で紅茶を飲んでいたハニスタも、両手で胸前にカップを持ったまま、心配そうに彼を見ていた。

「おまえも。その方がいいと思っているだろう」

サロウはなにか言いたそうな表情をみせたが、それをすぐに隠し、探るように俺の目を見た。

まただ
俺は、正直。この男が苦手だ。

ブリアティルトで行動を共にして数年がたつが、俺は未だにこの男の表面的な部分しか知らないように思う。
今回の陣営移動も本当は望んでいなかったはずなのに、意見を押し通した俺をまったく責めなかった。


「俺は自分を売り込めるほど社交的でもなければ、お前とハニスタに言われないと遠征にもいかない奴だぞ。
それよりお前が 」
「サグの過去にどんな悲劇があったか知らないけど、だからってあんたは特別な人間なんかじゃない」

俺の言葉を低く冷たい声が遮る
突然食卓を叩いて立ちあがったサロウにハニスタが小さな悲鳴をあげた


「そんなもんにしがみついて、自信の無さに甘えて、自分を超えようとしないだけだ!!
俺は、そんな人間が大っ嫌いなんだよっ!!」


俺はどんな表情をしていたのか、目を見開いていたのは間違いないだろう。

サロウには他者の顔色をうかがう癖がある、意見に肯定的で、愚痴も文句も言わず感情的になったところを今まで見たことが無い。
だから、どこか本心を疑ってしまう。

「俺は っ!」
 そう続けた彼の、次の言葉は聞こえてこない。

震える声も、今にも泣き出しそうな表情も、初めて知るものだった。
その様子を隠すように顔をそむけたサロウの腕にハニスタがそっと触れる
なぐさめるようなその手を静かに放し、彼は部屋を出てしまった。




沈黙が
酷く長く感じた


ハニスタも怒っているのだろうか、俯いている彼女の表情はわからない。

2人は、中盤戦に征く俺をやたらと心配した。
本当は、俺が頼りないからではないかと気にしていた。
俺は2人の為、野良屋の為を思ってこの決断を下したというのに、また何か間違ってしまったのか。



「サロウはサグが羨ましくて仕方ないのね」
ぽつり とハニスタが独り言のようにこぼした。相変わらずカップの中の紅茶を見つめたままでいる。

「・・・どういうことだ」

「俺はこういう人間だからこれでいいんだ!って、あいつは言えないの」
ハニスタはそう言って俺に笑った、遠い昔の、思い出を懐かしんでいるような笑顔。
2人の間にながれた13年という時がどんなものだったか、ほんの少し触れることが出来た様に感じた。


「ねえねえ、どうしてあいつがサグを中盤戦に出したかったか、知らないでしょう」

手品の種明かしをするように、なんとももったいぶった様子で彼女はサロウとの秘め事を耳打ちした。
女性特有の甘い香りに思わず顔をしかめてしまう、そんな俺を、ハニスタの澄んだ緑色の目は受け入れてくれる。


「努力すれば、必ず価値あるものを残せるってサグにもう一度信じてほしいから」


「・・・余計なことを 」
胸をじんわりと埋めていくものに、邪魔をされて
そう言うのが、やっとだった。

「サグ、自立ってのはな、一人で生きていくことじゃないんだ、誰かにきちんと甘えられる強さを持つことなんだ」
サロウが俺に何度も聞かせる言葉を、ハニスタが真似て言う。
何かと必死になって戦っているあの青い男が、自分に言い聞かせている言葉のように聞こえた。


「私も、サグに部隊長続けて欲しいな」


ハニスタの白い手が俺の右手を包む。
綺麗に飾られた爪。本来なら武器を持つことなどない細い指には、傷が目立つ
その弱くも強い手を守るように、左の手を重ねた。



2人は甘く
そして酷い奴らだ。
俺がどんなに我儘を言っても、自分勝手に生きても
諦めない。突き放してもくれなければ、見捨ててもくれない。
俺の背中を押しては、望みを叶えようと尽力してくれている。

俺は、そんな2人の気持ちに応えなければならない。
きちんと自分と向き合い、そして今の自分を超えていかなければならないのだ。



「サロウと話してくる」
放しかけた俺の手を、ハニスタが強く握り返す
おどろく俺を無視し、いつもと変わらない微笑みを見せる彼女も席を立った。
「私も一緒に行くよ」

「こ、これはちょ 」
「いいじゃん!仲良し仲良し~♪」


手を繋いだまま部屋を訪れた俺達を見たサロウは盛大に笑い、ぐしゃぐしゃと頭を撫でてきた
年下のくせして、その目はまるで父親のもののように温かさを持っていた。
何故俺を許すのかは、彼を信じればわかることなのかもしれない。


手には暖かい珈琲、向かいには幼馴染トークに花を咲かせる2人がいる
このありふれた日常が今の俺の幸いであるということ。

認めてしまえば、こんなにも心は満たされるというのか。




「乾杯しないか」
突然言いだした俺に、2人は目を丸くしたがそれぞれすぐにカップを持った
「何に?」
可笑しそうにサロウが聞いてくる
「このなんでもない日に」
俺とサロウを交互に見たハニスタが嬉しそうに笑い、高々とカップをあげる

「「「乾杯!!」」」

3人同時に声を上げた。




俺は今日から今を生きることを誓う。

もう独りでは生きていけなくなってしまった俺を、貴女はどんな顔で見ているだろうか。



いつか会う日まで

俺には守るものが出来た。
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Comments


何と素敵な物語…ちょっと涙腺が決壊しかけてしまいました。
コメントするのもはばかられるレベルでしたが、何か一言と思って!

来期もサグ殿・サロウ殿・ハニスタ殿、3人とも
宜しくお願い致します!
いつか…中盤戦・英雄戦の舞台で、手合わせを…!(゚д゚)

物凄く恥ずかしくなって削除しようと思ったら…!!///;
有難うございます!き恐縮です本当に、来期もサグ部隊長フラグでしたー 笑

実はね、VS狼厳さん用のビルド案をとある方に考えていただいたんです!
サグの仮想敵、ライバルは狼厳さんだったりするんですよ!(ビシィ
いつか、を必ず実現致しましょう。
英雄戦狙えるように功績稼ぎがんばるぜい






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